Googleは2026年5月26日、Vertex AI Extensionsを非推奨化し、2026年11月26日以降に停止すると発表した。継続利用にはAgent PlatformやGoogle Gen AI SDKの各機能へ移行する必要がある。
移行先は単一ではない。Code Interpreter、Google Search、カスタム拡張は、それぞれ実行環境、検索グラウンディング、Function Callingへ分かれる。既存Extensionを機械的に置換するだけでは、認証、状態、出力形式、監査が変わる。
何が変わったか
Vertex AI Extensionsで提供されていた機能は、Agent Platformを中心とした新しい構成へ移る。公式移行ガイドは、Code InterpreterをAgent Platform Code Execution SandboxまたはGeminiのcode_executionへ、Google Search ExtensionをGrounding with Google Searchへ、OpenAPIベースのカスタム拡張をFunction Callingへ移すよう案内している。
変更前後の差
| 既存Extension | 主な移行先 | 主な再設計点 |
|---|---|---|
| Code Interpreter | Code Execution Sandbox | 状態、ファイル、実行権限 |
| Google Search | Grounding with Google Search | 引用、検索結果、モデル設定 |
| Custom OpenAPI | Function Calling | 関数定義、認証、実行責任 |
| Extension管理 | Agent Platform | デプロイ、観測、権限 |
誰に影響するか
vertexai.preview.extensionsを利用するPythonコード、Extension Hubから機能を作成した環境、OpenAPI仕様を登録して外部APIを呼ぶエージェント、Code InterpreterやGoogle Searchの結果を業務フローへ組み込むシステムが対象である。
期限
公式の停止予定は2026年11月26日以降である。期限直前の移行では、検索品質やコード実行の安全性を十分に比較できない。遅くとも9月までに代替経路を本番並行稼働させる内部計画が必要になる。
必要な対応
まずExtensionの種類、利用コード、呼び出し量、権限、入力データ、出力依存を棚卸しする。次に種類ごとに移行先を決め、同じテストデータを新旧へ流して結果、遅延、費用、監査性を比較する。
実装・移行手順
- リポジトリから
vertexai.preview.extensionsとExtension IDを検索する。 - Code Interpreter、Google Search、Custom Extensionへ分類する。
- Extensionごとの入力・出力スキーマと失敗処理を保存する。
- Code InterpreterはSandboxのネットワーク、状態、ファイル制限を設計する。
- SearchはGroundingメタデータと引用表示を実装する。
- Custom ExtensionはFunction Callingの関数定義と認証プロキシへ移す。
- 新旧をシャドー実行し、結果差と費用を測る。
- 新規トラフィックを段階移行し、旧Extensionを読み取り専用にする。
- 期限前にExtension作成・更新コードを削除する。
失敗しやすい点
- 全Extensionに同じ移行先を使う
- Code Interpreterの状態やファイル処理を再現しない
- OpenAPI認証情報をモデルへ直接渡す
- Google Searchの引用形式変更を無視する
- Preview SDKのimportだけを変えて完了とする
- 停止後も旧Extension IDを設定ファイルへ残す
リスク
コード実行先の変更は、ネットワークアクセス、パッケージ、実行時間、ファイル保持に影響する。検索移行は引用と再現性、Function Calling移行は外部APIへの副作用と認可に影響する。機能別の脅威モデルを作らず一括移行すると、表面的には動いても統制が弱くなる。
評価方法
- 新旧の正常完了率
- 出力スキーマ互換率
- 検索回答の引用正確性
- コード実行の隔離違反件数
- Function Callの誤実行率
- P50・P95遅延と要求当たり費用
- ロールバック成功時間
- 旧Extension呼び出し残数
ロールバック
移行期間中はルーティングFeature Flagで新旧を切り替える。副作用のあるカスタム拡張は二重実行せず、読み取り系だけをシャドー比較する。停止日以降は旧サービスへ戻せないため、代替実装の前バージョンへ戻す手順を用意する。
編集部分析
この提供終了は、拡張機能を一つの抽象層へ集約する方式から、Agent Platform上で実行・検索・ツール呼び出しを個別に構成する方式への転換である。移行後は設計自由度が上がる一方、利用者側の責任も増える。機能単位の所有者と評価基準を明確にすることが重要である。
実務チェックリスト
- [ ] 全Extension IDと利用コードを特定した
- [ ] Extensionを種類別に分類した
- [ ] 代替機能と責任者を決めた
- [ ] 新旧の出力・遅延・費用を比較した
- [ ] 認証情報をモデルから分離した
- [ ] コード実行の隔離を試験した
- [ ] 段階切り替えと切り戻しを実装した
- [ ] 2026年11月26日より前に旧呼び出しを0件にする