OpenAIは2026年7月23日、旧GPT-5系、Codex、検索、音声、Realtime、Deep Research、Computer Useにまたがる15のモデルIDを停止する。
今回の対象には、日付付きスナップショットだけでなく、gpt-5-chat-latestのようなlatest系の名前も含まれる。モデルIDをコードへ直接書いていないシステムでも、環境変数、管理画面、ワークフロー定義、外部SaaS、評価ジョブに古い値が残っていれば停止日に失敗する。
停止対象と推奨移行先
| 停止対象 | 推奨移行先 |
|---|---|
computer-use-preview-2025-03-11 / computer-use-preview | gpt-5.4-mini |
gpt-4o-mini-search-preview-2025-03-11 | gpt-5.4-mini |
gpt-4o-search-preview-2025-03-11 | gpt-5.4-mini |
gpt-4o-mini-tts-2025-03-20 | gpt-4o-mini-tts-2025-12-15 |
gpt-5-chat-latest | gpt-5.5 |
gpt-5-codex | gpt-5.5 |
gpt-5.1-chat-latest | gpt-5.5 |
gpt-5.1-codex | gpt-5.5 |
gpt-5.1-codex-max | gpt-5.5 |
gpt-5.1-codex-mini | gpt-5.4-mini |
gpt-audio-mini-2025-10-06 | gpt-audio-1.5 |
gpt-realtime-mini-2025-10-06 | gpt-realtime-mini |
o3-deep-research-2025-06-26 / o3-deep-research | gpt-5.5-pro |
o4-mini-deep-research-2025-06-26 / o4-mini-deep-research | gpt-5.5-pro |
gpt-5.2-codex | gpt-5.5 |
移行先は用途ごとに分かれる。単純にすべてをgpt-5.5へ置き換えるのではなく、検索、音声、Realtime、Computer Use、Deep ResearchごとのAPI仕様と運用要件を確認する必要がある。
なぜ影響が広いか
モデルIDが設定層へ分散している
本番コードだけを検索しても不十分である。次の場所にも古いモデルIDが残る。
.env、シークレット管理、Feature Flag- CI/CDの変数と定期ジョブ
- 評価・回帰試験用の設定ファイル
- ノーコード、RPA、外部オーケストレーション基盤
- 顧客別またはテナント別の管理画面
- 障害時だけ利用するフォールバック経路
- 監視、検証、サンプル、社内手順書
利用頻度の低い経路ほど、本番切り替え後に初めて失敗が判明しやすい。
latestは永続保証を意味しない
latestという名前から、自動的に新モデルへ追従すると解釈するのは危険である。今回、gpt-5-chat-latestとgpt-5.1-chat-latest自体が停止対象になっている。エイリアスもAPI契約の一部として期限管理する必要がある。
置き換え先で挙動が変わる
推奨モデルへ変更すると、次が変化する可能性がある。
- 応答品質と指示追従
- レイテンシーとタイムアウト
- 入出力トークン数と料金
- ツール呼び出し形式
- 音声の区切り、割り込み、声質
- Computer Useの操作判断
- Deep Researchの所要時間と引用形式
- 安全判定と拒否応答
- JSONや構造化出力の安定性
モデル名の変更だけをリリースし、業務評価を省略するべきではない。
必要な対応
1. 全モデルIDを機械的に抽出する
対象15種を、ソースコード、設定、ログ、ダッシュボード、外部ツールから検索する。API利用ログまたは請求明細で、実際に呼び出されたモデル名も確認する。
2. 用途単位で移行計画を分ける
テキスト生成、コーディング、音声、Realtime、検索、Deep Research、Computer Useを同じ移行チケットへまとめない。評価項目と障害モードが異なるため、担当者と受け入れ基準を分ける。
3. 本番入力を使って回帰試験する
評価では平均的な例だけでなく、長文、曖昧な指示、ツール失敗、割り込み、低品質音声、プロンプトインジェクションなどを含める。旧モデルと新モデルの結果を並行比較する。
4. 切り戻し先も新モデルで用意する
停止対象をフォールバックとして残すと、主経路と同時に利用不能になる。切り戻し先も停止対象外のモデルへ更新し、定期的に疎通確認する。
5. 監視をモデル別に分解する
切り替え前後で次を比較する。
- 成功率、429、5xx、タイムアウト
- P50、P95、P99レイテンシー
- 入出力トークンと1処理当たり費用
- ツール呼び出し成功率
- 人手エスカレーション率
- 再試行回数
- 音声切断、無音、誤認識、割り込み失敗
推奨スケジュール
| 期限 | 実施内容 |
|---|---|
| 7月14日まで | 利用箇所と担当者を確定 |
| 7月17日まで | 推奨モデルで評価と費用試算 |
| 7月20日まで | 本番の一部トラフィックを切り替え |
| 7月22日まで | 全経路、フォールバック、定期ジョブを移行 |
| 7月23日 | 旧モデル呼び出しがゼロであることを監視 |
停止日当日の切り替えは避ける。品質差やAPI差分が判明しても、修正と再評価の時間が残らないためである。
編集部分析
今回の停止は、単一モデルの世代交代ではなく、OpenAI APIの複数機能を横断する整理である。特にCodex、Realtime、検索、Deep Researchを別チームが運用している企業では、中央のモデル台帳がなければ対応漏れが起きやすい。
モデルIDをアプリケーション資産として管理し、所有者、用途、最終利用日、停止日、代替候補、評価結果を記録する仕組みが必要になる。今後もモデルの更新速度が上がるほど、個別の移行作業より「継続的に移行できる運用設計」が重要になる。
実務チェックリスト
- [ ] 対象15モデルをコードと設定から検索した
- [ ] APIログで実利用モデルを確認した
- [ ] 外部SaaSとノーコード基盤を確認した
- [ ] フォールバック経路を更新した
- [ ] 本番入力で品質とツール互換性を評価した
- [ ] 料金とレイテンシーを比較した
- [ ] モデル別の監視を設定した
- [ ] 7月22日までに本番移行を完了する