OpenAIはChatGPTの検索機能を拡張し、過去のチャット、プロジェクト、画像、ドキュメントを一つの場所から探せるようにした。Web、iOS、Androidで提供され、世界の全ChatGPTプランが対象である。サイドバーから検索し、コンテンツ種別で絞り込み、結果から該当チャット、プロジェクト、ファイルを直接開ける。

何が変わったか

従来は、会話履歴、プロジェクト、画像、保存ファイルが別々の導線に分かれ、利用者が保存場所を覚えている必要があった。横断検索により、名前や内容を手掛かりに過去資産へ到達しやすくなる。長期案件、調査、資料作成、画像生成を継続する利用者には大きな生産性向上になる。

一方、検索性が上がることは、忘れていた情報も見つけやすくなることを意味する。古い顧客資料、個人情報、未公開企画、契約書、生成済みファイルがアカウント内に残っていれば、誤って再利用、共有、引用する可能性が高まる。

組織への影響

検索結果はアクセス権を新たに付与する機能ではないが、既にアクセス可能な情報の発見コストを下げる。したがって、権限設計が不適切な共有プロジェクトや、長期間放置されたファイルのリスクが顕在化する。

特に、プロジェクトへアップロードした資料とチャットの削除を同じものと考えてはいけない。OpenAIのファイル保存に関する案内では、保存済みファイルはLibraryから管理され、ファイルを含むチャットを削除してもLibraryのファイルが削除されない場合がある。情報廃棄手順は、チャット、プロジェクト、Libraryを分けて確認する必要がある。

導入時の運用変更

まず、自分とチームの代表アカウントで、顧客名、案件コード、機密ラベル、個人名などを検索し、どの情報が発見可能か確認する。不要なチャット、プロジェクト、ファイルは削除し、共有プロジェクトのメンバーを再確認する。

機密情報をChatGPTへ保存する可否、保存期間、プロジェクト命名、ファイル名、共有先、退職・異動時の処理を文書化する。検索機能を禁止するより、検索されても問題のない保存状態を作る方が実効的である。

評価方法

評価では、検索精度だけでなく、誤って古い版を選ぶリスクも見る。同じ名前の資料、複数版の契約書、更新前後の方針文書を用意し、利用者が最新版を識別できるか試す。ファイル名とプロジェクト名に版、日付、状態を含め、検索結果から正本を判別できるルールを決める。

また、Webとモバイルで同じ情報が検索されるため、個人端末の画面ロック、通知、画面共有、紛失時の対応も確認する。モバイルでの利便性向上は、端末管理の必要性も高める。

ロールバックと代替策

機能自体の個別無効化可否は、プランや管理設定の最新情報を確認する必要がある。無効化できない場合でも、機密資料を外部の承認済み文書管理へ移し、ChatGPTには最小限のコピーだけを置くことで影響を抑えられる。不要情報を削除し、共有プロジェクトからメンバーを外すことが基本的な縮退策になる。

実務チェックリスト

  • 顧客名、案件コード、機密語で横断検索を試す
  • チャット、プロジェクト、Libraryを別々に棚卸しする
  • 古い版と正本を区別できる命名規則を作る
  • 共有プロジェクトのメンバーを確認する
  • モバイル端末の画面ロックと紛失時対応を確認する
  • 退職・異動・案件終了時の削除手順を更新する

編集部の見解

横断検索は便利なUI改善だが、情報ライフサイクルの弱点を露出させる。見つけにくいことを事実上の保護策にしていた運用は成立しない。検索精度の評価より先に、残すべき情報と消すべき情報を明確にすることが必要だ。

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